『ツンデレくんには甘いハチミツを』
十二章[【ー平和ー】](1/121)
雄介が医学部に入って3年…。望も雄介も毎日忙しい日々を送っていて、どうやら会話の機会さえもなくなってきている。と、そんな時…望の兄弟がもう1人いることが判明…。※ノーマル。
 部屋内にはパソコンのキーボードを叩く音だけが響いている。

 それも一台だけではない。

 この家の住人である、望と雄介、二人でパソコンを叩いている為に二台分のパソコンのキーボードを叩く音が響いているのだった。

 雄介が大学に入学してから、もう三年にもなる。

 雄介もこの時期になるとレポートや講義と忙しくらしく望の方も自分の父親に頼まれた診療所を開く為に今、色々と毎日のようにパソコンに向かい勉強をしている。

 昔は二人でデートをしたり話をしたり時には喧嘩をしたりしていたことさえ今は懐かしいと思える位、今の二人には自由という時間が無い位だ。

 今は同じ屋根の下に居ても会話がほとんど無い。

 時に雄介が頭を悩ませ頭を掻く音が響く位で二人共パソコンに向かい集中している。

 こんなにも近くにいるのに今は抱き合うどころかキスもしていないであろう。

 フッと雄介はキリがいい所でキーボードから手を離すと今の時刻は夜中の二時を指している。

「もう、こないな時間やったんかいな…」

 そう溜め息混じりで言葉を漏らす。

 そして、机から立ち上がると望に気を使ってなのか、そっと、着替えを取り、お風呂場へと向かう。

 雄介はとりあえず終わったのであろうが、まだ、望はパソコンに目を通している姿を見たからであろう。

 雄介はお風呂から上がってきても望は未だにパソコンに向かっていた。

 雄介は一つ溜め息を漏らすと一人寂しくベッドへと潜り込む。

 今はそんな毎日が続いていた。

 同じ時間位に家を出て、同じ時間位に家に帰って来ても今は二人の間に会話はほとんど無い。

 これでは、雄介が消防士時代とまったく変わりないのかもしれない。

 しかし、雄介が消防士時代は雄介が一日置きに休みだったのもあるが雄介には仕事の時間以外には余裕があった為か二人の間には少なからず会話はあった。だが、今の二人にはその時以上に会話は無い。

 ある意味、新婚を過ぎた頃の夫婦状態なのかもしれない。

 同じ屋根の下で暮らしているのではあるが新婚の時のようにラブラブではなく居て当たり前の存在で会話が無いという状態というのであろうか。

 いや、全然違うかもしれない。ただ、お互いのことに関して邪魔をしたくは無いと思い気を使っているのであろう。

 再び、この二人の間に会話が生まれるのは果たして、いつになるのであろう。それは、まだ、検討もつかない。

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