『ツンデレくんには甘いハチミツを』
二.五章[【―記憶―番外編】](1/18)
※雄介が記憶喪失になる話です。
 あのデパート火災の時に雄介は望を助けようとして、火災で脆くなった天井が頭へと当たり、記憶を失った。

 望は雄介と共に救急車に乗り、自分が働く病院へと向かい、検査したのだが、意外にも頭を打っていたが傷は浅く、検査の結果大したことはなかった。

 だが、雄介の意識はまだ戻って来ない。

 病室に響くのはバイタルという機械音と雄介の呼吸器の音だけだ。

 そんな静まり返っている夜中に望は雄介の部屋に入って行く。

 今日、望は夜勤だ。

 本当はつきっきりで雄介の側に居たいのだが、雄介以外にも患者さんは沢山いるって訳で雄介だけを贔屓することは出来ない。

 今だって、仕事の合間を見付けてやっと雄介の側に来れた位なのだから。

 望は雄介の病室にあるイスに座るとそれを雄介の近くにまで持って来て、雄介の前髪を掻き揚げるように撫でる。

 せっかく、これから、また、2人で一緒に暮らそうと約束した矢先だったのに雄介が再び入院することになってしまった。

 何でこんなにも自分達には試練があるのかと思う望。

 しばらくの間、望は雄介の側に居て頭や体を撫でていると、雄介の瞳がゆっくりと開く。

 それに気付いた望は、

「…雄介!?」

 望は驚いたように雄介に声を掛けるのだ。

 まさか、こんなに早く目が覚めるとは思っていなかった。

 望はもう一度、雄介に声を掛ける。

 多分、雄介は気が付いてはいるが、今、自分が居る場所が判っていないだろうと思い。

「雄介。ここは俺が働いている病院だ。また、しばらく、お前が退院するまで俺が担当医だから、安心しろよ…」

 そう望は雄介が気が付いたことが嬉しくて立ち上がり、雄介に対して笑顔になるのだが、雄介は望の顔見て、不思議そうな目で望の顔を見ていた。

「ん?何だ?」

 望も雄介の不思議そうな顔に気付いたのか、何だか心配になる。

 確かに雄介が目を覚ましてから、雄介はまだ一言も言葉を発してないからだ。

「雄介?大丈夫か?あ、ああ!酸素吸入器が邪魔で話しにくいよなぁ〜」

 望はそう言いながら、雄介の口にしてあった酸素吸入器を外す。

 すると、雄介は口を開くが、

「…ゆうすけって…俺の名前なんか?」


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